【転載】 砂粒ほどの生きざま

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私は宮崎県北部の小さな漁村で生まれ育った。仕事の都合で国分の地に来てから25年になる。早いものである。 国分は面白い町だと思った。ここは古の史跡と最先端の工場たちが寄り添っている。電子部品を作っているハイテク工場などがある一方で、隼人族の塚や日向三代の御陵がすぐ近くにあったりする。歴史、それも古代史に興味がある私にとっては、非常に興味深い場所だった。

暫くして、仕事場が上野原テクノパーク内に移った。ここはご存知のとおり上野原遺跡が発掘され、今は縄文の森として整備されている。ここもまた古代と先端が寄り添っていた。

縄文の民の頭上に杭をうち工場建てれば現となりぬ

上野原テクノパークは半分が「縄文の森」であり、残りが工業団地である。その先端工場の地下にも縄文の民の足跡、想いが埋まっているのかもしれない。

靴底の砂粒ほどを生きてをり 二万四千年の時を超えつつ

二万四千年の地層展示は、その悠久の時の長さに比べると小さく感じる。はたして私の齢など、その上っ面の砂粒一つくらいではないか。

哀しみは愛しみにして一粒の砂となりたり縄文の民

地層の上っ面が私の時ならば、底の方にあるのが縄文の民の時である。彼らもまた砂粒一つくらいの時間を精一杯生きたのであろう。そんな砂粒ほどの生きざまの積み重ねが、今日にまで連なっている。

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(平成27年4月9日付けの南日本新聞、俳歌吟遊コーナーに掲載された拙文の転載です。)
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ジャンル : 小説・文学

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数年ほど前に鹿児島のとある山里の古民家に移住し、昼は野山を、夜はネットを徘徊しています。

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